私が「ひきこもり」の支援に至ったきっかけとして、身近にこの問題と係わってきた経緯があります。

 私は長い間この問題に向き合い、戦ってきました。「ひきこもり」自体は決していいことではないかもしれませんが、このことをきっかけに、一つの家族が、より結束が強くなり、コミュニケーションが増えることは収穫であると思いますし、（逆に家族一人一人が離れて暮らすと、その機会を失ってしまう場合もあります。）その様な状況になることは、ある意味では家族とは何かを真剣に考える機会となり、家族としての幸せを得ることができるまたとないチャンスともいえると思います。

 しかしこの問題は「家族だけの問題」と簡単に言い切れるものではなく、ご本人の心身からくるものや社会的なものが複雑に絡み合った問題であり、それだけでは解決できない問題です。
特にご本人と社会とのつながりについては、家族で解決できる課題ではありません。数十年前であれば、本人に働く意志さえあれば就職もでき、その中で社会性を身につけていく懐の深さが受け入れる側にもあったのかもしれませんが、今の時世ではその余裕はありません。
ですから家族以外に、第三者が介入し、それを第一歩として、社会に繋げる準備をすることが必要となります。
さらに成人以上になると、ひきこもり期間が長くなり社会とのブランクが空くことや、また受け入れる側の状況も厳しくなることから、社会復帰へのハードルが次第に高くなってきます。そのハードルは時間が経つにつれ、ますます高いものとなってしまうため、じっくりと辛抱強く準備を行う必要が出てきます。

 したがって、ひきこもりで悩む方と社会を繋ぐ上での「橋渡し」を当方では目指しております。ご本人とご家族に寄り添い、共に支えあうといった形の、継続的な自立支援を行い、一人でも多くの方が社会との繋がりが持てるお手伝いができたらと思っております。